介護・福祉への思い

戦後まもなくの日本の福祉の考え方は、敗戦国の特殊な事情があったものの福祉全体を捉えるのではなく、狭義の福祉としての弱者救済及び経済的困窮者に限定されてきました。その時の考え方は、個人を尊重するというものではなく、属性を合せた画一化した介護が一般的でした。当時の福祉といえばあたり前のように施設収容が当然と考えられていました。そこには、先程も述べましたが、高齢者を一個人として見ることが出来なかったのです。しかし、近年本来の人間の価値観がそれぞれ認められる時代になって、地域、在宅において安心して住める福祉社会の建設が重要かつ緊急の国家的、社会的課題になってきたのです。そのような課題はまさに「福祉」の基本的な考え方であります。人間の幸福や生活の安定・向上を図るという人々の理念に一致するものなのです。
たとえ高齢になろうと何らかの障害や疾病があろうと施設に収容されるのではなく世間の人々と同じ土俵で暮らしたいと願うのは人間として当然の欲求です。本人の意思を尊重し、地域社会で自立した生活と自己実現を目指すことが福祉の考え方であり、個人と環境の不適合を調整する社会的役割や機能が必要となってきました。
人間らしい生活をより積極的に実現化していこうということで、最近は福祉の実態の変化に伴って基本思想も事後処理的な対応から人権の尊重・自己実現へという考え方に変化してきています。